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+++ Categories = [] description = "『数学ガール-ゲーテルの不完全性定理』を読んで気になった部分をまとめました。" tags = [] date = "2016-02-01T11:49:22+08:00" title = "新しい道へ進むときには、誰でもためらうものなんだよ" +++ まちがいだ、つじつまが合わない―そういう事態に陥るのは、これまでになかった概念にぶつかったからだ:

まちがいが見つかったとき、失敗だと考えて引き返すのが普通だ。しかし、デデキントは失敗ではなく発見だと考えた。《全体と部分の間に全単射が存在する集合》が無限集であると定義すれば、有限・無限によらず、全単射で個数が等しいといえる。

まちがいだ、つじつまが合わない―そういう事態に陥るのは、これまでになかった概念にぶつかったからだ。失敗だと考えて引き返すこともできる。しかし、新しい発見かもしれないと考えて、さらに進むこともできる。

概念の拡張では、いつもそういう場面に出会う。

新しい道へ進むときには、誰でもためらうものなんだよ:

「誰でもためらう。数の名前に、そのためらいがよく現れている」

「名前―といいますと?」とテトラちゃんが言った。

「では、英単語のテスト」ミルカさんはそう言ってテトラちゃんを指さす。

「負数?」とミルカさんが問う。

"negative number"とテトラちゃんが応える。

「無理数?」

"irrational number"

「虚数?」

"imaginary number"

「否定的な、不合理な、想像上の―」ミルカさんは席を立つ。「これらの言葉には、新しい概念に向かう人間のためらいがよく表現されている」

彼女は、窓の外へ顔を向ける。

「新しい道へ進むときには、誰でもためらうものなんだよ」

数学ガール/ゲーデルの不完全性定理 (数学ガールシリーズ 3)
結城 浩
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