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+++ title = "結局、万人が納得するような綺麗でエレガントな解答などない。その事実を前に、自分たちは泥を被っていかねばならない。ただ泥をかぶるのは避けられないとしても、被る泥の量は減らせるのだ。" date = 2020-03-13 description = "星系出雲兵站-遠征- 2で気になった部分" tags = ["book"] categories = ["Quotes"] author = "kazu634" images = ["https://m.media-amazon.com/images/I/51ZjJ8TjEpL.SL160.jpg"] +++

星系出雲兵站-遠征- 2で気になった部分をまとめました。異星人の死体を回収し、調査しなければいけなくなった際の戸惑いの部分です。異星人を知的生命体と認めるならば、倫理的な問題をどのように解決していくのか、そこが問題になってきますです。

結局、万人が納得するような綺麗でエレガントな解答などない。その事実を前に、自分たちは泥を被っていかねばならない。ただ泥をかぶるのは避けられないとしても、被る泥の量は減らせるのだ。

真田の話は確かに深刻だった。非破壊検査であろうと、ゴートの死体を解体しなければならない。

確かにここまでの真田とのやりとりを欺瞞だの偽善だのと論難するのは容易い。最終的にゴートの死体は遺伝子レベルまで分析されてしまうのも、間違いないところだろう。

だが、事の本質はそこではない。たとえこうした議論が偽善と言われようが、異星人相手の調査活動では倫理的問題を自問するかどうか、その有無こそが重要という事だ。

倫理的な問いを発する過程を設けず、既成事実だけを積み重ねるなら、歯止めがないままに死体の山が出来上がるだろう。

さりとて、この状況でゴートの死体の山を前に何もしないという選択肢もない。ゴートの死体から情報を集めない限り、自分たちは彼らとコミュニケーションを取るための前進ができない。それもまた動かし難い事実だ。

結局、万人が納得するような綺麗でエレガントな解答などない。その事実を前に、自分たちは泥を被っていかねばならない。ただ泥をかぶるのは避けられないとしても、被る泥の量は減らせるのだ。

いま自分たちにできる最も誠実な態度とは、それが欺瞞かもしれないという疑念を忘れずに、倫理的問題に向き合うことしかないだろう。

曖昧なままの状況に応じて再検討され、喉に引っ掛かった魚の骨のように忘れることはできない。いま自分たちにできる最も誠実な態度とは、それが欺瞞かもしれないという疑念を忘れずに、倫理的問題に向き合うことしかないだろう。

星系出雲の兵站-遠征-2 (ハヤカワ文庫JA)
林 譲治, Rey.Hori
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